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電線ケーブル技術資料
ケーブルの種類
VCTケーブル VCTFケーブル
VCTケーブルはビニルキャブタイヤケーブルとも呼びます。素材はゴム系かビニル系があり、用途によって使い分けます。特性としては柔軟性、耐熱性に強く、また可動によるストレスにも強い事から移動用配線等、様々な用途に使用できます。
VCTのシースの色(ケーブルの色)は灰色が一般的です。
メーカーによってほとんど特性に差異はありませんが、シースの灰色が若干違いますのでご注意ください。またVCTの芯線色別はメーカーによって異なる場合がありますので、別途お問い合わせください。
VCTとVCTFの違い
VCTは交流600V以下、直流750V以下の電圧で使用されるビニルキャブタイヤケーブルです。
それに対してVCTFは交流300V以下の電圧で使用されます。
(写真)VCTケーブル
VFFビニル平形コード
一般にはビニルコード、またビニル平行線とも言います。
家庭用機器(コンセント等)としてよく使われている事が多いほか、小型電気機器の電源供給線としてもよく使われます。
特徴としましては定格温度は60℃、定格電圧は300V、耐水性、可とう性、加工性、着色性等に優れております。また環境に配慮し、鉛を含まない塩化ビニル樹脂を使用しています。
電気用品安全法による型式認定品です。
VVFケーブル
VVFケーブルとは、( Vinyl insulated Vinyl sheathed Flat-type cable )の頭文字をとったケーブルの名称であり、「600Vビニル絶縁ビニルシースケーブル平形」のケーブルです。ビニル被覆の外側をビニルシースで覆っただけの単純構造です。VVFケーブルは低圧屋内配線で非常に多く使用される電線で、概ね15A程度までの照明・コンセント回路への電源供給用ケーブルとして普及しています。VVFやVSF、VFFの電線略称に使用されている記号は下記の通りです。
記号の次の数字が太さ(断面積)を表し、ケーブルの場合は最後に芯線の本数が表されます。
記号 | 意味 | 備考 |
---|---|---|
V | 塩化ビニル | 材質 |
C | 架橋ポリエチレン | 材質 |
F | 平型 | 形状 |
R | 丸型 | 形状 |
S | 単芯 | 構造 |
F | コード | 種別 |
CT | キャブタイヤー(移動用)の略 | 種別 |
2C | 2芯 | 黒白 |
3C | 3芯 | 黒白赤 |
4C | 4芯 | 黒白赤緑 |
(写真)VFFビニル平形コード
IV電線
IV電線は、( Indoor PVC )の略称で屋内配線用の絶縁電線です。600V以下の主に一般電気工作物や電気機器に用いられます。屋内電気配線用途としては、接地用の電線や、スイッチ・コンセント類の渡り線として使用されています。
塩化ビニル樹脂が主流の電線で絶縁体最高許容温度は60℃となっており、敷設場所や電流値を計画する必要があります。
(写真)IV電線
< KV IV KIVの違い> K 柔軟性 I 絶縁電線 V ビニル電線
ロボットケーブル
ロボットケーブルとは、産業用ロボットでの使用に適した専用ケーブルのことです。工場内のロボットの可動部という使用条件があるため、耐屈曲性(可撓性)、耐捻回性、耐摺動性、耐振性に加えて、耐油性、耐薬品性、耐熱性・耐寒性、難燃性、耐ノイズ性などにも優れています。撚線の導体と、フッ素樹脂などの絶縁体、編組シールド、耐油性・耐熱性に優れたシース材を使用することが多いです。
(図)大電 ロボトップSF-SB/UL SERIES
MLFCケーブル
「MLFC」は日立電線の型式ケーブルです。
口出線(難燃性ポリフレックス電線、MLFC)は、モータ、発電機、中・小型の変圧器などの電源の引込みまたは引出しに用いられる電線です。また配電盤用電線、車両の配線など幅広い分野で使用されています。
絶縁体は電気用品安全法に定められた耐燃性架橋ポリエチレン混合物に適合しています。
欧州RoHS指令「電気・電子機器に含まれる特定有害物質の使用制限」に対応しています。
熱安定性、可とう性、耐熱性(110℃)、耐寒性(-50℃)に優れ難燃性で、端末剥取性が容易です。また高圧電線に要求される耐トラッキング特性、耐コロナ特性にも優れ、600V~6600Vまで取り揃えております。
耐熱性に優れており、20,000時間寿命では120℃、40,000時間寿命では110℃と良好な耐熱特性を有しております。
<HIVとの比較>
CVケーブル
CVケーブルは「架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル」の略称で、CVDケーブル・CVQケーブルは、単心のCVケーブルをより合わせた電力ケーブルです。
CVケーブルは需要家の構内で使用する電力としては、極めて一般的であり、普及率の高い電力ケーブルです。住宅や事務所、商業施設、工場など、ほぼどのような建築物にでも使用に適している電力ケーブルです。CVケーブルの特徴としては、OFケーブルに比較して、①ケーブルの発生損失が小さい、②導体の最高許容温度が高く(90℃)とれるため電流容量が大きくとれる、③軽量のため取り扱いやすく、敷設が容易である、④油そう等の付帯設備の必要がないため、設備の簡素化が図れる、⑤固体絶縁であるため高低差の大きい場所でも使用できる、等の利点があります。
CVケーブルとCVDケーブル・CVTケーブルの違い
CVケーブルは導体を架橋ポリエチレンで被覆し、その外周をビニルシースで被覆したケーブルです。
CV-1Cを2本まとめて円形に仕上げたものはCV-2C、3本まとめたものはCV-3Cというように名称付けされています。撚り線にして施工性や許容電流値を向上させたものが3種類生産されており、CVDはCV-1Cのデュプレックス(2本撚り)、CVTはトリプレックス(3本撚り)、CVQはカドラプレックス(4本撚り)と呼ばれています。撚り本数が多くなるほど放熱性能が悪くなるため、同一径における許容電流値が減少していきます。多心のCVケーブルは、単心のCVケーブルを2本・3本と一体にし、隙間を介在物という物質で充填して円形に構成しています。介在物の存在の有無も放熱性能に影響するため、CVTケーブルなどのより線ケーブルと比較すると、どうしても許容電流が小さくなる傾向があります。
ケーブル外径は、若干CVDケーブルやCVTケーブルなどのより線ケーブルの方が大きくなりますが、ほぼ同様と考えられるほどの差です。しかし重量は介在物がない分、CVDケーブルやCVTケーブルの方が軽くなりますので、施工性の向上が見込めます。